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2009年6月25日 (木)

外来語、翻訳、カタカナ 続編

6月2日付け外来語、翻訳、カタカナの続きになる。昔は外国の国名や地名を漢字で表記して、それにルビを振っていた。今でもその名残で、アメリカは米、イギリスは英、ドイツは独、フランスは仏、ロシアは露などと表記している。カタカナ3~4文字を漢字1文字で表せるから、書くのは楽だしスペースも少なくて済む。

ただしイギリスがはじめから英だったわけではない。イギリス=エギリスを英吉利と漢字表記し、その頭文字を採って英にした。米もアメリカ=メリケンを米利堅と音訳して米。神戸にはメリケン波止場がある。フランスは仏蘭西の仏、ドイツは独逸の独、イタリアは伊太利亜の伊などとなっている。

これをみると外国名の音が、当時の日本人にどのように聞こえていたかも推察できる。アメリカはメリケンと聞こえていたようだし、イギリスはエギリスと聞こえていたようだ。ドイツも英語のジャーマンではなく、ドイツ語のドイッチュをドイツと聞き、その音から独逸になっている。

だが、アメリカは米利堅だけではなく、亜米利加、亜墨利加、亜美利加、美理可など、いろいろな表記があり、まちまちだった。しかしたいていはアメリカとルビを振っていたので、読むのに困るということはなかった。やがて漢字を省略して米としたり、ルビをそのままアメリカとするようになった。

世界地図を開いて国名や地名だけでなく山や湖川まで、片っ端から漢字化していく作業は大変だったと思う。市俄古=シカゴのように音をそのままというのが多いが、なかには 「剣橋」 と書いてケン ブリッジ ( bridge ) と読ませるような、音と意味とが合成された傑作もあった。

そのほかにも主な漢字と略漢字を挙げておこう。

国・地名漢 字略漢字
ヨーロッパ欧羅巴
カナダ加奈陀
ブラジル伯剌西爾
ニュージランド新西蘭
ポルトガル葡萄牙
ノルウェー諾威
オランダ和蘭、阿蘭陀
オーストリア墺太利
スペイン西班牙西
ベルギー白耳義
ウィーン維納

漢字の国、中国ではカタカナがないので、当然ながら全部漢字表記になる。日中全く同じというのもあれば、微妙に独自性を発揮しているのもあり、比べてみるとおもしろい。国名にかぎって以下に表記してみる。

国 名日本語中国語
アメリカ亜米利加亜美利加
アメリカ合衆国亜米利加合衆国美利堅合衆国
インド印度印度
ビルマ緬甸緬甸
タイ
オーストラリア濠太刺利澳大利亞
オーストリア墺地利奥地利・奥地利亞
イタリア伊太利亜義大利・意大利
フランス佛蘭西法蘭西
ドイツ独逸徳意志
ベルギー白耳義比利時
スイス瑞西瑞士
オランダ和蘭荷蘭
デンマーク丁抹丹麥
ハンガリー洪牙利匈牙利
フィンランド芬蘭芬蘭
ロシア露西亞・魯西亞俄羅斯
イギリス (ブリテン)大不列顛・英吉利大不列顛
イングランド英蘭英格蘭
スコットランド蘇格蘭蘇格蘭

ついでに、国名以外の地名についても比較してみる。

地 名日本語中国語
アフリカ阿弗利加阿非利加
ラテン羅甸・拉丁拉丁
ワシントン華盛頓華盛頓
ニューヨーク紐育紐約
サンフランシスコ桑港聖佛蘭西斯科
ロンドン倫敦倫敦
ベルリン伯林柏林
パリ巴里巴黎
ローマ羅馬羅馬
ハンブルク漢堡漢堡
モスクワ莫斯莫斯科
シンガポール新嘉坡新嘉坡
バンコック盤谷盤谷

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