カテゴリー「言語・表現」の記事

2009年7月17日 (金)

花雕酒 (かちょうしゅ) を頂いた

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淅江省塔牌紹興酒有限公司の花雕酒を頂いた。2006 年 11 月 10 日の花雕酒(はなぼりしゅ、かちょうしゅ)を頂いたに登場する 「近頃中国語にはまりこんでいる知人」 が、今度は十二年ものを持参してくれた。

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その時頂いた紹興酒に開眼したおかげで、それまで中華料理店で食べる時に 「紹興酒!」 とだけ言っていたのに、あれ以後、メニューを見て、必ず値段の高い紹興酒を注文するようになった。ビールとチャンポンにガブガブと飲んでいた紹興酒を、あじわいながら飲むようになった。

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同席の仲間、女性までが、美味しい、と言ってくれる。メニューの銘柄などは、見てもわかりはしないが、値段がやや高めのものを頼んでおけば間違いない。まわりに老酒党が増えたような気がする。しかし自宅では、相も変わらずビールと日本酒一辺倒で、なかなか老酒にまで手が回らない。

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頂いた酒瓶は変わっている。陶製の蓋にある切れ込みに、付属の金属製の鍵みたいなものを挿入して、こじると、ぺきっと割れて、蓋が取れる。瓶の口にはコルク栓が収まっているので、こちらはワインのコルク抜きを使う。というのが、彼の解説で、その通りにやって、上手くいった。

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とりあえず、ぬる燗で一口一口味わいながら、そーっと飲む。上等の大吟醸を冷やで飲む時のように、口中をころがして、ゆっくり賞味する。一晩で飲みきってしまうのはもったいないので、半分は翌晩に残す。翌晩は冷やでやってみたが、口当たりはよいものの、やはりぬる燗の方が旨い。

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ところで紙箱に、

温馨提示:(「寸」 にしんにゅう)量飲酒 有害健康

とあるが、こりゃいったい何だろう。「適量飲酒」 では意味不明だし、まさか最近のタバコの箱に

喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。...

などとあるののマネをしたわけではないだろう。で、贈り主の中国語カブレさんにメールでお教え願ったところ、即答が帰ってきた。


お口に合って良かったです。その内またお届けしましょう。ところでご質問の文字ですが、「温馨提示」 は直訳すると、「温かくよい香りの提示」 で意味不明!?になりますよね。そこで調べましたら、「ちょっと注意しますよ」 ですって。次に 「適量飲酒」 は 「過量飲酒」 で 「飲みすぎると健康に悪いよ」の意。じゃによって 「タバコの注意書き」 とは良い勘で御座りまする。

とのこと。ここがはっきりしないと、安心して酔えない。喜寿にもなると、些細なことにもこだわって、ああだ・こうだ、とうるさく、周りにご迷惑をお掛けしているが、もうしばらくのことなので、諦めてご辛抱頂くしかない。

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2009年7月 6日 (月)

日本漢字化連盟

6月2日付け外来語、翻訳、カタカナと、6月25日に書いた外来語、翻訳、カタカナ 続編の続きみたいなものだが、翻訳については、もう少し言いたいことがある。

日経新聞の毎週日曜日にだけ連載されている、歌人 小池光さんの 「うたの動物記」 7月5日はコウモリだった。一部を引用させて頂く。

ペリー来航の際、一行の中に洋傘をさした人物がいて蝙蝠を連想させた。...インバネス・コートをトンビに、アンブレラをコウモリに、明治人の言語感覚のなんと自在な楽しさよ。

インバネス・コートのトンビは、最近は着る人がいなくなって、とんと見かけないが、戦前には着物姿の祖父が、冬に羽織っていたのを憶えている。コウモリという言葉も和傘が一般的でなくなたので、あまり使わない。単に傘とか、雨傘・日傘などという。

そういえば戦前は番傘の方が安くて一般的だった。コウモリ傘はどちらかというとヨソイキという感じ。雨々降れ降れの童謡にあるとおり、母さんのお迎えはジャノメか番傘だった。昨年7月26日のジャノメチョウ(ナミジャノメ)をご覧いただきたい。

脱線から戻って、足を入れる袋がタビ 足袋ならソックスは靴下。ハンチングは鳥打帽 (とりうちぼう)。ボーラーハットよりも山高帽の方がよく通っている。エンビフク 燕尾服に至っては、英語のイブニング・テイルコート Evening Tailcoat という言葉を知らない人の方が多い。

フォトが写真でカメラが写真機、テレフォンが電話。ペンシルが鉛筆でファウンテンペン fountain pen が万年筆。パンツが猿股。ならば、アンダーシャツを西洋肌襦袢 (ハダジュバン)、シャツを洋襦袢 (ヨウジュバン) にしてもよかったように思う。ビニールは防水布 (ぼうすいふ) ならどうだろう。

みんなでカタカナ外来語をどんどん漢字化してはいかが。日本漢字化連盟でも立ち上げて、どなたか会長になって頂けるとありがたい。アリガタイ、ナラ 蟻が鯛なら、イモムシは鯨。

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2009年6月25日 (木)

外来語、翻訳、カタカナ 続編

6月2日付け外来語、翻訳、カタカナの続きになる。昔は外国の国名や地名を漢字で表記して、それにルビを振っていた。今でもその名残で、アメリカは米、イギリスは英、ドイツは独、フランスは仏、ロシアは露などと表記している。カタカナ3~4文字を漢字1文字で表せるから、書くのは楽だしスペースも少なくて済む。

ただしイギリスがはじめから英だったわけではない。イギリス=エギリスを英吉利と漢字表記し、その頭文字を採って英にした。米もアメリカ=メリケンを米利堅と音訳して米。神戸にはメリケン波止場がある。フランスは仏蘭西の仏、ドイツは独逸の独、イタリアは伊太利亜の伊などとなっている。

これをみると外国名の音が、当時の日本人にどのように聞こえていたかも推察できる。アメリカはメリケンと聞こえていたようだし、イギリスはエギリスと聞こえていたようだ。ドイツも英語のジャーマンではなく、ドイツ語のドイッチュをドイツと聞き、その音から独逸になっている。

だが、アメリカは米利堅だけではなく、亜米利加、亜墨利加、亜美利加、美理可など、いろいろな表記があり、まちまちだった。しかしたいていはアメリカとルビを振っていたので、読むのに困るということはなかった。やがて漢字を省略して米としたり、ルビをそのままアメリカとするようになった。

世界地図を開いて国名や地名だけでなく山や湖川まで、片っ端から漢字化していく作業は大変だったと思う。市俄古=シカゴのように音をそのままというのが多いが、なかには 「剣橋」 と書いてケン ブリッジ ( bridge ) と読ませるような、音と意味とが合成された傑作もあった。

そのほかにも主な漢字と略漢字を挙げておこう。

国・地名漢 字略漢字
ヨーロッパ欧羅巴
カナダ加奈陀
ブラジル伯剌西爾
ニュージランド新西蘭
ポルトガル葡萄牙
ノルウェー諾威
オランダ和蘭、阿蘭陀
オーストリア墺太利
スペイン西班牙西
ベルギー白耳義
ウィーン維納

漢字の国、中国ではカタカナがないので、当然ながら全部漢字表記になる。日中全く同じというのもあれば、微妙に独自性を発揮しているのもあり、比べてみるとおもしろい。国名にかぎって以下に表記してみる。

国 名日本語中国語
アメリカ亜米利加亜美利加
アメリカ合衆国亜米利加合衆国美利堅合衆国
インド印度印度
ビルマ緬甸緬甸
タイ
オーストラリア濠太刺利澳大利亞
オーストリア墺地利奥地利・奥地利亞
イタリア伊太利亜義大利・意大利
フランス佛蘭西法蘭西
ドイツ独逸徳意志
ベルギー白耳義比利時
スイス瑞西瑞士
オランダ和蘭荷蘭
デンマーク丁抹丹麥
ハンガリー洪牙利匈牙利
フィンランド芬蘭芬蘭
ロシア露西亞・魯西亞俄羅斯
イギリス (ブリテン)大不列顛・英吉利大不列顛
イングランド英蘭英格蘭
スコットランド蘇格蘭蘇格蘭

ついでに、国名以外の地名についても比較してみる。

地 名日本語中国語
アフリカ阿弗利加阿非利加
ラテン羅甸・拉丁拉丁
ワシントン華盛頓華盛頓
ニューヨーク紐育紐約
サンフランシスコ桑港聖佛蘭西斯科
ロンドン倫敦倫敦
ベルリン伯林柏林
パリ巴里巴黎
ローマ羅馬羅馬
ハンブルク漢堡漢堡
モスクワ莫斯莫斯科
シンガポール新嘉坡新嘉坡
バンコック盤谷盤谷

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2009年6月 2日 (火)

外来語、翻訳、カタカナ

毎日毎日カタカナ語の氾濫に悩まされる。イノベーション、インセンティブ、エッセンシャル、エビデンス、カミングアウト、コンシェルジュ、コンセプト、スキル、スキームなどなど無限に近い。コメディカルなどという和製英語もあり、外来語辞典だけでなく、国語辞典などにも載っている。

中国文化だけを受け入れていた昔は、外来語とはいえ、意味の見当が付く漢字だったから、どうということもなかった。幕末から明治にかけては、西欧文化がどーっと流れ込んできた。当時の人たちは、それを四苦八苦しながら漢字に翻訳して新語を作った。

西周(にしあまね)や福沢諭吉、中江兆民、坪内逍遥、森鴎外などは、「哲学」、「概念」、「演繹・帰納」、「心理学」、「現象」、「想像力」、「消費」、「権利・義務」、「文学」、「小説」、「脚色」、「共和・民主・自由」、「鉄道」、「演説」、「為替」などを造ったといわれている。

また、「文化」、「作者」、「運命」、「男性・女性」、「業績」、「象徴」、「芸術・美学」、「人民」、「議会・政党」、「歴史」 なども彼らの労作とのこと。一方、日本で作られた 「市場」、「組合」、「時間・空間」、「体育」、「代表」、「重軽工業」、「土木」、「百貨店」 などは、そのまま中国語になっているそうだ。

日経新聞朝刊の最終ページには、「交遊抄」 という小欄があり、名の通った方々の投稿が載っている。その欄が日曜日だけは 「うたの動物記」 となる。和歌や俳句などに取り上げられたた動物について、歌人の小池光さんが、おもしろいエッセイ風の読み物をお書きになっている。

5月24日は 「カメレオン-変幻蜥蜴に魅せられた夭折作家」 で、生誕百年を迎えた中島敦が取り上げられている。その中で楽しい記述を見付けた。

遠い熱帯の爬虫類であるカメレオンには和名がない。いささか残念なので和名を考えた。

変幻蜥蜴

というのはどうだろう。おごそかにも妖しく、数倍存在感が重厚になるように思われる。

最近の外来語がカタカナ語に訳されるのは、翻訳者の日本語力が低下したわけではないだろうが、安易に流れすぎている。それに、カタカナ語のほうがカッコいいと思う人がふえたからではないか。西欧コンプレックスかも知れない。国産の商品名までがカタカナ語になっている。

せめて企業名や商品名ぐらいは漢字にして欲しい。エビデンス (証拠)、イノベーション (改革)、インシデント (阻害要因) などと、カタカナの後にわざわざカッコ書きで漢字を書いている文書に出会うこともある。それぐらいなら、エビデンスではなく、証拠と書けばよい。

上の変幻蜥蜴など、ヘンゲントカゲと音に出してみると、また格段のおもむきがあり、すばらしい響きだと思う。れっきとした日本語があれば、日本語を使う。無ければ、工夫を凝らして、新しい漢字の日本語をつくればよい。外国語をそのままカタカナにするような怠惰からは足を洗って欲しい。

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2009年5月 1日 (金)

ライラックが満開

ライラックが満開になった。ジンチョウゲやキンモクセイの時と同じで、庭に出ると特有の薫りが迎えてくれる。帰宅して駐車場から庭に一歩踏み入れると、ああ、咲いているんだ、と嗅覚を刺激する。香りがよくて香水の原料ともされ、16世紀半ばには、香水としてもてはやされた、とか。

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クロアゲハが吸密に来た。写真クリックで、大きな画像になります

ライラックは、モクセイ科ハシドイ属の落葉樹で、学名は Syringa vulgaris。Syringa (シリンガ) とはギリシャ語の Syrinx (笛、パイプ) が語源で、vulgaris は 「普通の、通常の」 という意味。昔、この枝から笛、パイプを作ったことからきているそうだ。

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和名はムラサキハシドイ (紫丁香花)だが、英名の comon lilac をカナ化したライラックや、仏名の lilas commun 由来でリラとも呼ばれるのが普通。原産地はヨーロッパ南東部からコーカサス、アフガニスタンとくにハンガリー、バルカン半島といわれている。

日本への渡来は、明治23年に米国人宣教師 サラ・クララ・スミス女史が、生まれ故郷のアメリカから持ち込んだ1本が、はじめとか。

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開花時期は4~5月で、紫色または白色などだが、園芸品種では濃い紫など、変わった花色もある。花形は大きな円錐状の花がよく目立ち、花びらはふつう4枚だが、まれに5枚のものもある。

花芽は前年枝の上位の側枝につくので、剪定は花後がよい。頂芽は成長過程で枯死し、両側の側芽が伸びて花序は対生してつくことが多い。

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北海道では、開花期の5~6月頃に寒くなる日があり、そんな寒さを 「リラ冷え」 といい、季語になっている。本州の 「花冷え」 とほぼ同じ意味。これから暑くなろうとしている矢先の一瞬の寒さをいう。

この言葉は、北海道の俳人、榛谷 (はんがい) 美枝子さんが1960 (昭和35) 年に詠まれた句の冒頭に使われている。

リラ冷えや 睡眠剤は まだ効きて

この言葉は、1971 (昭和46) 年に渡辺淳一さんが書いた小説、「リラ冷えの街」 で一気に広まった。今では俳人のみならず、札幌で暮らす人々の日常の言葉として定着しているそうだ。

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2007年2月23日 (金)

「美人」 という言葉

かな漢字変換にAtokを使っているが、「びじん」 と入力すると 「美人」 が変換候補に示されると同時に 「不適切表現」 という文字が表示される。しかし 「びじんが」 と入力すると、

1.美人が<<不適切表現>>
2.美人画

となり、美人画なら不適切表現にならないようだ。そういえばひと頃、美人看護婦 (看護師ではない) とか美人アナウンサーとか、女性と見ればやたらと 「美人」 という前置詞のような形容詞を付けていた頃があった。女性イコール美人だったようだ。しかし今は、この前置詞みたいなものを見たり聞いたりしなくなった。

MS-IME は永らく使ったことがないので判らないが、Atokでは、この 「不適切表現」 というのがよく出てくる。ということは、普段それだけ、不適切な表現を使っていることになる。
シナチクと入力すると、<<書き換え>>と出て、変換キーを押すとメンマになる。これは、中国のことを昔は支那 (シナ) と呼び、英語でもチャイナだったが、戦前の日本人が中国に対してシナという言葉を侮辱的な意味で使っていたので、シナが不適切と判断されたからだと思う。しかし、子供の頃の記憶では、シナよりもチャンコロという言葉を使っていたようだ。

韓国人の知人がいるが、彼らは朝鮮という言葉を嫌がる。戦前は朝鮮半島が日本の植民地になっており、日本人は彼らを一段下に見下していた。だから朝鮮人という言葉に、侮蔑的な感情が込められていた。われわれの世代は、シナや朝鮮という言葉を使うことに抵抗を感じている。チョウセンはシナ同様に不適切表現のはずだ。しかし、世代交代が進んで戦後派ばかりの時代になると、シナや朝鮮がなぜ侮蔑語なのか判らなくなるのではなかろうか。朝鮮民主主義人民共和国 (北朝鮮) という国ができてからは、北朝鮮とは違うという意味で 「朝鮮人」 と呼ばれるのを、韓国人は嫌がっているようだ。当たり前のことだが、チョウセンと入力しても 「不適切表現」 という表示は出てこない。

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