新型インフルエンザの不安
村上龍さんが発行している JMM [Japan Mail Media] という無料メールマガジンの中で、東京大学医科学研究所 探索医療ヒューマンネットワークシステム部門客員准教授の上 昌広 (かみ・まさひろ) さんが、「絶望の中の希望~現場からの医療改革レポート」 を連載していらっしゃる。
非常に啓発的で判りやすく、毎回読ませて頂いて、大変勉強になる。その8月12日付、第37回 「新型インフルエンザワクチンで薬害を起こさないために」 を読んで驚いた。これでは安心してワクチンの接種を受けられない。
1976年、米ニュージャージーでH1N1型の新型インフルエンザAが流行した時、米国政府は、早急にワクチンを開発し、4000万人以上に接種したが、先日、亡くなった大原麗子さんと同じ病気の、ギラン・バレー症候群という神経系の副作用が多発し、ワクチン接種は中止された。
この事件を契機に、米国では1988年に、VICP ( National Vaccine Injury Compensation Program ) が設立され、ワクチンによる副作用が発生した人は、無過失補償制度を利用して、訴訟を起こさなくとも、十分な補償を受けることができるようになっている。
現在の日本では、新型インフルエンザワクチンは、予防接種法に位置づけられていないので、定期接種の対象とはならない。副作用の補償は、国の被害救済制度ではなく、製薬企業の責任になる。副作用による薬害が発生した場合、訴訟で勝利した人だけが補償金を受け取り、訴訟しなかった人は泣き寝入りとなる。
新型インフルエンザワクチンを販売する外資系製薬企業は、副作用が出た場合、自らが訴訟のリスクを負いかねないので、無過失保障制度が整備されていない国とは契約したくはないだろう。現在、新型インフルエンザワクチンの供給は不足し、完全な売り手市場となっている。
この状況では、いざワクチンを輸入しようとしても、希望する量のワクチンが確保できないかもしれない、という問題もある。ワクチンは安全なのか、必要量は確保できるのか。これから新型インフルエンザの流行期を迎えようとしている中、不安でたまらない。











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